甲南大学経営学部は、1960年、経営学部としては、日本で4番目に、関西私学で最初に開設された「伝統」ある学部です。同様のタイプの学部としては商学部が一般的であった当時、ビジネスマン教育の中心に経営学をすえた、きわめて、挑戦的で革新的な学部として設立されました。以来、50年以上にわたって、このような「革新」の精神が受け継がれ、より新しい研究・教育が模索され続けました。つまり、経営学部には、「革新の伝統」が培われてきました。このようなわれわれの姿勢を体現するものとして、「伝統と革新」が経営学部のスローガンとして使われています。
経営学は、企業を中心とする組織を研究対象とし、それを様々な形でとらえて考察する研究領域です。例えば、企業の中の「ヒト」の問題は心理学や社会学的なアプローチが用いられますし、「カネ」の問題は、経済学や法学的なアプローチが用いられます。このように経営学は、企業・組織という研究対象を、様々な形でとらえて研究する「学際的」な研究領域であり、主としてどのようなアプローチで勉強を進めるのかは、学生諸君が選ぶことになります。
また、経営学なる学問が成立した理由は、「企業や組織をいかにうまく運営するべきか」という問題意識に答えようとしたことにあります。その結果、経営学は、そのような要請に答えるべく、実践的・実学的な要素がきわめて強い学問領域として発展してきました。
経営学部では、全学開講科目であるグローバルコミュニケーションⅠ・Ⅱをカリキュラムに取り込んでいます。これは、ベルリッツやECCの講師陣によって、少人数クラスで開講される科目です。1年間を通じて、週1日の午前中を「実践英語でビジネスの基礎を学ぶ時間」とすることが可能です。また、GBコースを履修することにより、1・2年生の間、通常の学生の3倍以上の英語科目の履修が可能であり、「英語漬け」になることもできます。
経営学部では、1年生入学直後から、6月の日商簿記検定3級の取得を目指した簿記入門を全学生が受講します。講義は大原簿記学校神戸校の講師陣によって、きわめて実践的な形で進められます。この科目は、1年生の最初に簿記を勉強することにより、高校教育とその後の大学における経営学の専門教育の橋渡しになることを意図したものです。さらに、会計実務に対して興味を持った学生は、APコースに所属することにより、2年生以降、本格的に上級資格の取得を目指して勉強する科目を履修することができます。なお、入学時にすでに日商簿記2級を取得済みの学生は、入学直後からAPコースの上級科目を履修することも可能です。
BPコース(3か月のインターンシップ)・GBコース(実践英語と留学)・APコース(会計実務と資格取得)を総称して、BLプログラムと呼ばれています。このプログラムは、通常の大学教育において今までなかったタイプのカリキュラムを提供することを試みたものです。これらのコースは、その趣旨に賛同して、そのような教育を受けたいと考える学生諸君に対して、開講されているものであって、全学生がこれらに所属することが求められているわけではありません。一定の申請条件や定員があるケースもありますが、2年生進級時に、履修を希望する意欲のある学生に対し、広く門戸が開かれており、学生諸君は自らの意思でコースに参加することになります。
経営学部の学生たちはゼミナールを伝統的に重視しています。ゼミナールとは、2~4年生にかけて、1人の教員に対して10数名の学生が師事し、研究発表やディスカッションを中心に進められるタイプの講義です。
ゼミナール以外でも学部の自由な空気を反映し、学生たちは、それぞれのスタイルで、大学生活を楽しんでいます。例えば、クラブ活動やサークル活動も活発に行われています。